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« こいつが犯人か? | メイン | 後輪のキャンバーを弱める »

2016年9月20日 (火)

車椅子のホイールアライメント

自動車ではホイールアライメントというのは重要な項目で、車検などでも必ず点検される項目でもあり、特にレーシングカーなどでは非常に重要視されていて、乗り手が拘る部分でもある。

また自動車でなくても、タイヤのある乗り物、例えば自転車なんかでも、乗り手は気にしていなくても生産するメーカーなんかの設計の段階では重要視されている筈の部分である。

でも、車椅子の場合、タイヤのある乗り物ではありますが、ほとんど拘られる部分ではなくて、ホイールアライメントの2大要素であるキャンバー角(前輪の横方向の傾き)もキャスター角(前輪の軸の縦方向の傾き)も、とにかく垂直に調整するのが良いと言われており、モジュラータイプの車椅子だと後輪の車軸高さなどを調整したときにキャスター角も変わってしまうのでキャスター角については調整できるようになってる車椅子が多いけれども、キャンバー角については、垂直に固定されていて、そもそも調整できるように作られていない機種が殆どでもある。


元々、私の車椅子もモジュラータイプで、キャスター角については調整できる構造になっていたけれども、キャンバー角については例にもれず垂直の固定になっておりました。しかし、キャスターの取り付け金具を無理やり歪めて取り付ければ僅かにキャンバー角を付ける事ができたので以前はそうやって、無理やりキャンバー角を付けて走行していた。そして、そうやって実際に走ってみてキャンバー角の重要性を感じてきたので、あえて前輪のキャンバー角を調整できるように改造した。

この改造を本格的にやったのがWorldRunの少し前の今年の3月で、それ以来、前輪のキャンバー角、キャスター角をいろいろ変えてみては、アライメントの違いによって、どの程度走りが変わるのか?、また操作性が変わるのか?を見てきた。

そして、ここまで見てきて分かった事は

まず、走行性を重視するなら、前輪のキャスター角、キャンバー角、そのどちらも垂直ではなく適度な角度を持たせてやるべきだということ。

この走行性というのは、とにかくスピードを出すならという事ではなく、ゆっくりな速度であっても、よりスムーズに安定していて、しかも楽に操作できるようにするには、という事であって、レースに出たりしなくても、あるいは飛ばして走らなくても、自分の力で自走するなら、アライメントはしっかり調整できるようにするべきだと、特に最近、強く感じている。

キャンバー角も、キャスター角も、どちらも重要だけれども、より重要と感じるのはキャンバー角。

後輪のキャンバー角の効果は既に知られている事で、例えば競技用なんかの車椅子には必ずキャンバー角が付いているし、生活用の車椅子でも高級車だとキャンバーの付いたのも販売されている。

しかし、前輪のキャンバー角については、私の知る限りでは競技用でも見た事はないし、生活用の高級車でも見た事はない。

P9040044_3



そう言えば、前輪のキャンバー角にどんな効果が有るのか?、というところをまだ説明していなかったので簡単に説明しておくと、真っ直ぐ走ってる時の効果は後輪のキャンバーとほぼ同じ効果で、直進性が増す。私が今まで感じたところでは、この直進性に関しては後輪のキャンバーよりも強く感じるし、横傾斜の路面の直進性などは特に後輪のキャンバーよりも前輪のキャンバーの方が強く出せる様に思う。機会があれば、あえて後輪のキャンバーを無くして、前輪のキャンバーだけで、どの程度の直進性が出せるのかもやってみたいところです。

あと、もう一つ、前輪のキャンバーの効果として、これは少しでも足を踏ん張る力が出せる人に限るんだけど、前輪にキャンバーを付けておくと、例えば右カーブしたい時に左足に少し力を入れてフットレストに荷重を掛けると、手を使わなくても右へカーブして行く事ができる(スキーと同じ様に外足に荷重を掛ける)ので、下り坂では手放しでも自分の思うように車椅子をコントロールする事ができるし、曲がる為に片方にブレーキを掛ける必要が無いので、スピードを無駄にする事なくカーブを曲る事ができるし、急な進路修正時(自動車の車線変更のような動き)でもブレーキを使わずに進路修正ができる。この効果がマラソンなどの下り坂では非常に大きなメリットとなる。

ただ、ここで、これは私も当初考えてた事だけれども、前輪にキャンバー角を付ける事で直進時に左のキャスターは右へ、右のキャスターは左へ進もうとして、それを互いに打ち消し合う訳だから、当然そこで抵抗が発生する事になり、その抵抗の分だけ遅くなる。これがいったいどの程度の抵抗になるのか?。この抵抗が大き過ぎれば直進性のメリットを打ち消して、結果としては遅くなる可能性もあるし、結果としてよく走るようになるのか、それとも走らなくなるのかをしっかり調査する必要がある。そんなところから、ここ最近、キャンバー角を含めたアライメントをいろいろ変更しながら「走り」を計測していた。

そこで、まだ完全な結果として出ていないけど、面白い結果が出そうになっている。

何が面白いかと言うと・・・

キャンバー角を強くすれば、それだけ曲がろうとする力も大きくなるし、左右のキャスターが打ち消し合う力も大きくなるだろうから、当然それだけ直進時の抵抗が大きくなるだろう?、と考えた。なので、キャンバー角を後輪と同程度の強い角度から徐々に垂直に近い弱い角度に変えていきながら「走り」を測定し、直進性と操作性が悪くならない範囲で、一番小さな角度を見つけようとしていた。そうする事でできるだけキャンバーを付ける事による抵抗を小さくしようとした訳だけど、そうやって「走り」を測定していくうちに、面白い結果が出るようになってきた。

具体的には・・・

このキャンバー角による「走り」の違いを計測し始めたのは、先日のキャスターをインラインスケートのウィールに換えて計測し始めた時からで、元はと言えば、単にインラインスケートのウィールを使えばどの程度走るのか?、と言うのを初めて測定した時に、以前のゴムのキャスターと比べて驚くほどの結果が出たので、「よし、もっと速く走らせてみよう」と、前輪のキャスター角を弱くしてみた。この時は、どこまで走らせる事ができるのかを確かめたかっただけなので、直進性が犠牲になるのは覚悟の上で、かなり垂直に近い弱い角度まで一気に戻して計測してみたところ、期待とは裏腹に、かなり遅いタイムが出た。この時の結果はゴムのキャスターの時とほとんど変わらないような結果だった。この時はキャンバー角を弱くし過ぎたので進路修正が多くなり、その結果遅くなったんだろうと考え、そのキャンバー角から今度は徐々にキャンバー角を元の強い角度に戻しながら計測してみた。ここで私が考えたのは、元の強いキャンバー角にたどり着くまでのところに最初に測ったタイムよりも優れたタイムが出る角度(直進性と抵抗のバランスが取れた角度)が有るはずだと考え測定を続けた。しかし、結果としては、最初の一番強いキャンバー角の時がタイムも一番良い結果が出た。この計測コースが曲がったコースなら理解できるけど、測定している2つのコースはどちらも直線コースなのに、キャンバーを強くするほど良く走るという結果が出た。

この結果がどういう事なのかを自分で理解できるように考えてみると・・・

この2つのコースはどちらも直線コースだけれども、僅かに左右の横傾斜があるので、完全な手放しで転がすと横に流されてコースアウトする。なので、進路がズレた時には手放しではあるけど上で書いてるように左右のフットレストへの荷重で進路を修正して直進する事になる。この時、前輪に強いキャンバー角が付いてる場合はフットレストへの荷重が少しの荷重でしかも短時間にサッと進路を修正する事ができる(左へズレれば左のフットレストを踏みつける)けれども、キャンバー角が弱い場合はそれだけ強く、しかも長く荷重を掛けないと進路が修正できない。この進路修正時にフットレストへ掛ける荷重が結果としてはキャスターへの荷重なので、それだけ転がり抵抗が大きくなってブレーキとなる。

こう考えれば、ここまでの結果の辻褄が合ってくる。

それじゃ、もっとキャンバーを強くすればどうなるのか?、というところからやってみたところ、流石に強くしすぎると前輪による左右へのフラつきが発生するようになり「走り」が悪くなった。これは、まぁ、予想通り。

元はと言えば、キャンバーを強くすれば走らなくなるけど操作性は良くなる。逆にキャンバーを弱くすれば走るけれども操作性が悪くなるという形で両立できないから、自分で走ってみて「走り」と「操作性」共に妥協できる範囲のバランスを見つける必要がある、と考えていたけれども、結果としては、ある程度の範囲までならキャンバー角を強くすれば直進性も操作性も良くなり、序に「走り」まで良くなるという予想外の良い結果が出た。



あと、キャスター角についてはどんな効果があるのか?

P9040045

このキャスター角については、キャスターの径やオフセットなどによって変わってくるので、全ての車椅子で必要かどうか?はなんとも言えないけど、少なくとも私の車椅子ではキャスター角を垂直、あるいは少しでも後ろに傾けると、時速12~13キロを超えるあたりから、キャスターが横方向にブレ始めて大きな振動となってブレーキが掛かる。これがキャスター角を適度に付けてやる事で、ピタっと止める事ができるので必要だと言える。(画像では垂直に見えるかもしれないけれども2°程度の小さなキャスター角が付いている)



ただ、このキャンバー角もキャスター角もメリットばかりではなく、デメリットも存在するので、その事も書いておくと・・・

私が思う一番のデメリットはと言うと、キャンバーにしてもキャスターにしても軸を傾ける事になるので、曲がる時やバックする時にキャスターが横方向や前方向に移動すると、それに伴いキャスターの高さが変化し、キャスターの高さが変化することで車椅子の前部が上下する。具体的にキャンバーをハの字にし、キャスターを後ろに傾けると、車椅子の前部は前進時に一番高くなり、それ以外の方向に向いた時には前進時よりも低くなる。この事によって、例えばコンビニなどのレジで精算するのにレジまで行って財布を出すのにハンドリムから両手を離した時に、地面が傾斜していなくても、後ろに有ったキャスターが前方向へ出るまで勝手に後退してしまうので、レジではいちいちブレーキを掛けておかないと、勝手におよそ30センチほど下がってしまう事が多い(笑)。また単に前部が上下動する事が気になる人もいるかも知れない(私は気にしないけど)


そんなところで、良い所もあれば悪いところもあるけど、両方考え合わせれば、良い所の方が断然大きいし、メーカーでも後輪のキャンバーについてはフレームの強度なんかも考える必要があるので折りたたみ式だと特に簡単ではないけど、前輪にキャンバーを付けるのはメーカーなら簡単な事だし価格が大きく上がる訳ではないし、折りたたみ式でも簡単に装着できるし、前輪にキャンバーを付ける事も真剣に考えれば良いのになぁ、なんて考える今日この頃です!!

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